ネリーのおやつ

ボッサリした日常をざっくりと ブログは短くオヤツ的なスナック感溢れるカンジで

二十歳の指輪

今週のお題「20歳」

その頃、ワタシは超厳しい学校で、想像を絶する寮生活を送っていた。
毎日、自分はなんでこんなにダメなんだろう、とノートに書き連ねているような生活だった。
門限9時、電化製品持ち込み禁止、TVもない4人部屋で、色々な人に迷惑をかけつつ、周りの人に恵まれたせいかハイになってくらしていた。
何故か金髪で、ピアスが10個空いていた。
あの頃の事を思い出すと…思い出したくないくらいアホだった。
あの頃なんでこんなに自分はダメなヤツなんだと思った事が、それからの自分がダメだった事につながる。
親元を離れて、自分と向き合った時に、こうでなければいいと思っていた自分の本質を見た最初だったんだと思う。


20歳の前に、彼氏と別れた。
デートと言えば、半日かけていろんな本屋を回るくらいしか興味のなかったワタシに、根気よくつきあってくれて、他の楽しい事も連れて行ってくれて、ワタシのしょうもない話につきあってくれる人だった。
でも別れた。
その後、友人が彼氏からもらった指輪をしていて
『20歳の誕生日に、彼氏からシルバーの指輪をもらうと、幸せになれるんだって』と言う。
別れた、というと「男の人なら誰でもいいみたいよ。お父さんとかでも」とのこと。


幸せになりたいな


そう思ったので、週末帰省した時に、父に「誕生日はシルバーの指輪を買ってほしい」と言おうと思い、金曜日の夜、父の会社の近くで待ち合わせをした。
バス停で降りると、父が待ってくれていて、いつもの様に「お父さん、ただいま〜」と腕を組もうとすると、父が焦って「少し離れなさい」と言う。「なんで?」と聞くと「会社の人に誤解されたら困る」と言う。
確かに、ワタシは外出するとき「姉さん、お勤めごくろうさまです」と声をかけられる見てくれだったので、変なの、と思いつつ、仕方ないか、と少し離れて歩く。
父にこれこれこう言う訳で、誕生日にシルバーの指輪を買ってほしい、と言うと、父は困った顔をした。真面目一辺倒の父は、シルバーの指輪がどういう所で売っているか、いくらくらいするのか見当もつかない、と言う。
シルバーの指輪なんて、そこらへんで1000円くらいで売ってるよ、と言うと、じゃあ、お金を上げるから、自分で買って来なさい、と言う。
プレゼントなんだから、お父さんがワタシに選んでくれなきゃ〜、と言って、恥ずかしいのかまだ困った顔をしている父を見ていたら、唐突に
そんなんで、幸せになれるわけないじゃん
という思いがこみ上げて来た。
急に「やっぱいい」と言うワタシに、父が「ごめんな〜お父さん気が利いた事できなくて」と言う。
そうじゃなくて、お父さんは全然悪くないんだ。
ワタシはシルバーの指輪なんて全然ほしくないんだ。
なんとなく幸せになりたかっただけで。
ワタシの幸せは、彼氏に指輪をもらうことではないんだ。20歳の誕生日に、誰かに指輪をもらう事でもなく、指輪でもなく、20歳でもない。
っていうか、幸せって何?え?なんだなんだ??
ワタシの幸せは、ワタシが決めるんだ。それができるのはワタシだけなんだ〜テーテレテッテッテッテ〜!(効果音)
…わかったようでわからない、その日、お父さんと酒でも飲んで帰るか、と1杯ひっかけてお家に帰った。で、お姉ちゃん(酒豪)と出掛けて、またちょろっと(酒豪基準)飲んだ。

結局、ワタシは自分の開けたピアスのせいで、金属アレルギーになり、その後もアクセサリとは無縁の生活である。


その後、何度か指輪をいただく機会があったが、今、手元にあるのは、旦那さんが出張帰りに唐突に買って来たティファニーの婚約指輪と結婚指輪だけである。…すみません、どこにしまったか定かではありません。
20歳でシルバーの指輪をもらわなかったワタシですが。