ネリーのおやつ

ボッサリした日常をざっくりと ブログは短くオヤツ的なスナック感溢れるカンジで

泣く娘3 赤帽子になる

泣き虫の娘上が、先日、通っているスイミングで赤帽子になった。
判定の日、先生から「来週から赤帽子です」と言われ、不覚にも目頭が熱くなった。


赤帽子って、そんなにすごいの?
と言うと、爆笑されるくらい全然すごくない。
まず、入会するとピンク帽子、で、その次が赤帽子なんである。
ピンク帽子は『水に慣れる』が目的で、泳げる子は入った時から赤帽子と言う子もいるし、2〜3回の体験で赤帽子になる子もいる。まあ、普通は1〜2ヶ月なんじゃないだろうか。

娘上は、1年半、ピンク帽子だった。

そもそも、スイミングを始める理由も、娘上が、あまりに運動をしないから、だった。

幼稚園で、お友達は次々と鉄棒、うんてい、なわとびなんかをしている中、娘上はお絵描き、ままごと、とじーっとしている。
公園に連れて行っても、ワタシにくっついているだけ。
お友達が誘っても「ワタシ…嫌いだから、いい」そんなことだけきっぱりしている。
おままごとや静かな遊びでは張り切ってるんだけど。
まあ、できなきゃ楽しくないわな、と、練習しようと誘っても「怖い」「嫌」「つまんない」で、家のソファでだらーっとしている。
苦手やできない事はわかるが、あまりに動かない。
しかも人と争う事が苦手で、勝つ事に楽しみを見出せない、足手まといになるから…と本人の弁、団体競技も無理そうだ。
じゃあ個人競技で全身運動の水泳かな、と、入会を決めた。
入会の時に、こんなかんじでクラスが上がって行きます、と説明を受けている間、「あの、クラスはそんなに上がらなきゃいけない、とかそんな決まりはないんですよね?」と聞いて「は?」と聞き返された。
みんな泳げるようになるために来ているんだもんね。
そんな健康維持なんて中年みたいな理由で来てないんだもんね。

覚悟はしていたものの、初日から心が折れた。
緊張の面持ちで着替えに向かった娘は、プールに行く段階で泣き、水に顔をつけて泣き、帰り道「もう辞めたい」と泣いた。
次の週も、次の週も、まず別れ際に泣き、先生に引きずって連れて行ってもらい、「がぼっと水が入った」と言って泣き、男の子に水をかけられた、と泣き………。
「今日は水に顔つけられたじゃない」「ボビング上手になって来たね」毎回褒めるが、娘上は「辞めたい」と泣く。
慣れてきて、水中で眼も開けられるようになり、泣く理由が無くなると「ママがいない」と泣くようになった。
ガラス隔てた所で、ワタシは見ていて、手を振ると少し笑って振り返すのだが、多分、嫌なんだろうな、理由とかそんなことでなく。動く事、うまくなることに興味がないんだろうな。
それでも真面目な顔で、言われた事はやっている、それだけが支えだった。

後から来た子も、初日泣いていた子が、次からニコニコと通い、どんどん赤帽子になっていった。
年長から1年、娘上はまだピンク帽子だった。
他の子が赤帽子になる事を、娘上は何とも思っていない。
自分がずっとピンク帽子だと言う事にも、何も思っていないようだ。
「辞めたい」と言うので、「赤帽子になったら辞めてもいいよ」というと「わ〜い」と喜ぶものの、それで何か頑張ろうと言う気配もなかった。
ただ、授業中最低1回は泣きながら、毎週通っていた。

小学校に入り、登校でも泣くようになり、その悩みと、スイミングでも泣く事に、ワタシが疲れ果てていて、ワタシがこれじゃあ、本人はもっと辛いのかな、と揺れる時期があった。
小学校のお友達で、同じスイミング倶楽部に通っていて、辞めた、という子のお母さんと話した時に「あそこは上達しないよ」と言われた。指導法がどうで、と色々聞かせてもらったが、何か遠い話しを聞いているようだった。
結局、娘上の性格の問題なんだよな。
わあわあ泣く訳じゃない、手が付けられない様な泣き方じゃなく、シクシク泣くのだけど、泣くと授業が中断する、本人も進まないし、他の子にも迷惑になる。
きっとどんな場所でも同じことが起こって、同じ事でつまずくことになる。
これは泣く娘の自分との戦いなんだな。
上に上がらなくてもいい、泣かなくなりな、とずっと言って来た。
でもそれは、泣かなくなったら、あんたきっと上に上がれるよってことなんだよ。
上手くなる事じゃなく、運動する事じゃなく、すでに、娘上の泣く心との戦いになっていた。

それから、学校でも先生やお友達、ワタシも色々働きかけて、色々あって、娘上は、学校で泣かなくなった。
それと時を同じくして、スイミングでも、娘上は泣かなくなった。
泣かなくなったら、ワッペンが次々もらえて、娘上は2ヶ月で赤帽子になった。

赤帽子になった日、娘上に「赤帽子になったね!すごいじゃん!頑張ったね!」と声をかけると、娘上はいつものように全く興味なさそうに「あ〜、ピンク帽子に慣れたから、ピンク帽子でよかったのに」と言う。
ふと思い出したように、「赤帽子になったから、辞めてもいいんだよね」と言う。
ワタシが少し考えて「もえちゃん、今、辞めたい?」と聞くと「う〜ん、あれ?辞めたくないかも」と言った。

この夏、娘上は、スイミングとは別に、プールに2〜3日に1回は通った。娘は真っ黒なごぼうみたいに焼けた。
娘上が「ママ〜、今日もプール行きたい」と言うのだ。

小学校のプールでは、1年以上スイミングに通っているのに『初心者』から始めた娘上。
まあ、娘上のことだから、泣かないだけでも上等上等。と思っていたのに、大嫌いな体育が楽しい、と言い、水泳授業が終わるとき、7級になっていた。

長い…いつもの事ながら、経過が長い…。
スイミングとの戦いが終わった後は、算数との戦いが待っているのであった。